医師転職の極意まとめ

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医師という人材は本当に「売り手市場」なのか?「売り手市場」はいつまで続くのか?

どのくらい医師の需要はあるの?「必要求人医師数」

医師は高給で安定した職業というイメージがあります。医学部に在籍して医師国家試験に受かる方法以外で医師になる方法はなく、医師法に守られた安定した職業ということは確かに可能でしょう。売り手市場かどうかで考えると、どのような診療科であろうとも常に求人はあり、例え今いる職場を辞めたとしても再雇用は比較的容易でしょう。

まず売り手市場になるには「医師の供給以上に医師の需要が多いこと」が挙げられます。供給よりも需要が大きければ当然のように求人は安定して報酬も比較的高くなっていきます。日本医師会が2015年に発表した「病院における必要医師数調査結果」では必要求人医師数倍率を計算しました。必要求人医師数とは「現員常勤換算医師数に対する現員賞金換算医師数と求人医師数の合計」で求められる数値です。

例えばとある科で現在100人が働いているのに対して求人が20人分出ているとすると必要求人医師数は1.2となります。この数値が1になると医師が充足するということになるので、1.2だと不足が目立つということになるでしょう。医師全体を通してみると2010年に厚生労働省が調査した結果の必要求人医師数倍率は1.11に対して、今回の調査の結果では1.06となっています。劇的な改善ではありませんが悪化はしていないと言えます。

参考:http://www.jmari.med.or.jp/download/WP346.pdf

それでは診療科別で見てみると必要求人医師数倍率はどうなっているのでしょうか?

必要求人医師数倍率は2015年の時点でもっとも倍率が対診療科は美容外科の1.15です。次いで倍率が高いのがリハビリテーション科の1.14、救急科の1.10、全科・感染症内科・気管食道外科・呼吸器内科・婦人科の1.09が続きます。2010年の厚生労働省の調査結果でもリハビリ科や救急科の必要医師数倍率はそれぞれ1.23と1.21のため慢性的に医師不足が続いていると言えるでしょう。

求人として顕在化していない「必要医師数倍率」

また必要求人医師数倍率のほかに必要医師数倍率という数値も調査されています。これは求人は出ていないが現場で必要となっている医師の数をあらわした数値です。例えばある診療科で現在100人の医師が働いているのに対して実際は医師が120名必要な場合はこの数値が1.2となります。この数値も必要求人医師数倍率と同じく、1に近づけば近づくほど医師数が充足していることを示します。

必要医師数倍率が最も高い科はリハビリテーション科の1.227です。次いでアレルギー科の1.225、救急科の1.204、産科の1,191、感染症内科の1.183、婦人科の1.177、心療内科の1.172、病理診断科の1.161などが続きます。なお、全科は1.11となっています。これらのうちリハビリテーション科、救急科、産科、心療内科、病理診断科は厚生労働省が2010年に調査した結果でも上位にランクインしているため、慢性的な医師不足な状況になる診療科と言えるでしょう。

特に必要医師数倍率は求人に出ていない潜在的な医師の需要であるため、医師の激務に繋がります。医師のワークライフバランスを保つために改善するべき数値でしょう。

地域によっても異なる医師の需要と供給

地域性によっても医師が充足しているかどうかは大きく異なります。医師は都市部に集中しやすい傾向があるため、2010年に厚生労働省が調査した必要求人医師数倍率では島根県が1.24、岩手県が1.23、青森県が1.22など地方での医師不足が目立ちます。

また2015年に日本医師会が調査した結果では2010年に続き、秋田県、新潟県、山形県、島根県、滋賀県は引き続き必要求人医師数倍率が高い都道府県としてランクインしており慢性的な医師不足が目立ちます。これらの地域は慢性的な医師不足に悩まされているため供給よりも需要が高くなっています。そのため賃金も高い傾向にあります。

厚生労働省が調査した「2015年賃金構造基本統計調査」では最も医師数の多い東京の平均年収が900万円ほどなのに対して秋田県は約1,500万円、新潟県は約1,370万円、山形県は約820万円、島根県が約1,000万円、滋賀県は約1,440万円と一部の例外を除き高給傾向にあります。

年収アップを狙う医師に地方求人・ターン転職がひそかに人気を集めているのはこういった背景もあります。

参考: https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/429631/

2008年には医学部の定員が増加して、2017年には新しい医学部が新設されます。このことから医師の絶対数は今後、増加傾向にあり医師不足の状況は改善されていくものと考えられます。しかしそれでも激務の科には人気が集まりづらく、また都市部への医師の集中傾向も続くと考えられます。個人的な意見ですが、医師の売り手市場は最低10年間は続くものを考えています。これは2017年に増設される医学部の生徒が医師として働きだすために必要になる期間です。

まとめ

必要求人医師数倍率の高いリハビリテーション科や救急科はこれからも売り手市場が続く診療科と言えるでしょう。また医師数が不足している産科、心療内科、病理診断科、感染症内科などもこれから求人が顕在化してくるでしょう。また都市部への医師集中は今後もトレンドであると考えられるため、地方に行けばより医師の売り手市場を実感できるかもしれません。

人気のある診療科や都市部の病院の採用のみを考えるのではなく、必要求人医師数倍率の高い診療科や地方の病院の採用を検討することで医師としての働き方やキャリアパスがまた一つ広がっていきます。

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